「窯焚きしとるから見にこられ〜。」
と、工房舎 閑雲(かんうん)の館長である宝住さんが連絡をくださった。
廃校になった旧赤毛(あかげ)小学校をそのまま残し、陶芸、木工、トンボ玉、楽器制作、織物の工房として利用していらっしゃる。
暗闇に煌々と輝く明かりを目印に
真っ暗な中を、手探りで歩く。
中から聞こえてくる、にぎやかな声。
火入れした日から5日間、24時間中ずっと火を燃やし続け、1200℃になるまでゆっくりゆっくり温度をあげていくのだという。
ところが、私がおじゃました時はちょうど、温度が下がりかけた時だった。
「毎年のことやけど、調子よく温度が上がってきたと思ったら、必ずどんどん下がってしまう時がある。その時は、あーでもないこーでもないと必死になって温度を復活させる。それがあるから、かえっていい作品になるんや。その苦労が作品に表れるんやからねえ、面白いがや。」
と宝住さんは熱く語る。
『沙弥殿窯』…「しゃみどのがま」が訛って「しゃんどんがま」と呼ぶのだという。
この窯は、自然釉(しぜんゆう)という焼成法で、作品に降りかかった灰が100度以上の熱で溶けだし、ビードロやベージュのような自然で神秘的な色がでるのだそうである。
このお二人が温度を上げる名人。確かに、炎の勢いが違う。薪の入れ方も、奥へ突っ込みすぎないとか、コツがあるのだとおっしゃる。
そうして、5日目の朝に、入り口も煙突もすべて一気にふさいで火を止め、10日間ほどかけて今度はゆっくりと温度を下げていくのだそうである。
「そん時、気をつけんならんのが、高熱で回りのものが燃え出さないようにすることや。回りのものを全部片付けて、ずっと見張っておらんならん。これが一番大変かもしれんなあ。」と笑う。
次におじゃまするのは、焼きあがって取り出すとき。
どのような作品に仕上がっているのか、楽しみである。
氷見市赤毛 工房舎「閑雲」 にて